2011年07月07日

日本の太陽光発電、相次ぐ誤算…経営の速さ取り戻せ

 世界一の技術を誇る日本の太陽光発電の存在感が急速に薄らいでいる。2005年、世界の太陽電池の生産量ベスト5に、シャープや京セラなど日本の総合電機メーカー4社が入る圧倒的強さを誇ったが、わずか5年後、ベスト5から4社すべてが姿を消した。代わって頭角を現したのは中国やドイツなど海外の新興企業だった。

 半世紀の歴史を持つ日本の太陽電池技術は、太陽光を電気エネルギーに変える変換効率と耐久性を高めて世界トップの競争力を維持してきた。他を寄せ付けなかった日本勢が“失速”した理由は2007年、原料調達に失敗したというのが大方の見方だ。

 当時、太陽電池の原料のシリコンの価格が数倍に急騰した。この局面で海外企業は臆することなく大量の資金を投入してシリコンを買い進め、市場が拡大していた欧州に製品を供給したのだ。対照的に日本企業は調達に失敗、生産を思うように伸ばせなかったとされる。シャープがドイツの新興企業「Q−Cells」に世界一の座を奪われたのも、この年だった。

 シャープは当時、シリコンを薄く切って並べる主流の「結晶型」とともに、ガラスなどに膜を吹き付ける方式でシリコンの使用量を大幅に減らす「薄膜型」の生産にも力を入れ始めた。

 「薄膜型は安いが、変換効率が低かった。技術で効率を上げ、安価でそこそこ変換効率が高い太陽電池を開発できると見込んだ」と業界関係者は振り返る。しかし、薄膜型の変換効率は期待するほど向上できなかったという。

 シャープや京セラは「失敗」との見方を否定するが、誤算は続いた。米国の新興企業「ファースト・ソーラー」が薄膜型より安価で変換効率も高い「カドミウム・テルル薄膜型太陽電池」の開発に成功。販売を急激に伸ばし、2009年に生産量世界一に躍り出た。イタイイタイ病の原因となった重金属のカドミウムを利用する発想は、日本企業にはなかった。

 そのファースト・ソーラーを押しのけて昨年、生産量世界一となったのが中国の新興企業「サンテックパワー」だ。2001年の創業以来、10年もたたずに頂点に登り詰めた。

 同社の日本法人社長、山本豊(51)はいくつものメーカーを渡り歩き、米シリコンバレーで起業した経験もある。その山本が、その急成長の理由に上げるのが「専業」だ。

 「日本のような総合電機メーカーは1部門への資本投下の決断がどうしても遅くなる。世界のどこかの国がエネルギー政策を変えれば、数時間のうちに企業の方針を変えてでも対応しなければならない時がある。その点、太陽光発電専業であるわれわれの方が、圧倒的に早く決断できる」

 同社は平成18年に日本にも進出。買収した国内の太陽光発電メーカーの販売ノウハウを取り込み、大手量販店と組む手法で売り上げを急拡大している。昨年には国内市場で早くも5位に食い込み、日本の大手4社を猛追する。

 東日本大震災による東京電力福島第1原発の事故後、「脱原発」の動きが広がるなか、太陽光発電の国内市場は一層の成長が見込まれている。長年太陽光発電に携わってきた関連メーカーの担当者は「図らずも、大震災で太陽光発電に注目が集まった。設備購入費は下がり、数年内に補助金なしでも日本の各家庭が太陽光発電を導入できるときがくる」と言う。

 太陽電池ビジネスは歴史が浅いだけに、世界の市場規模は2025年には09年の5倍以上になるとの試算も。未開の市場も大きく広がるが、国内、海外勢が入り乱れて市場争いは一層激しくなるとみられる。

 中国経済に詳しい東大社会科学研究所教授の丸川知雄(46)は「日本メーカーが復活するためには、太陽光発電部門を独立させるといった抜本的な改革を通じて、経営と技術開発のスピードを上げていくしかない」と指摘する。

 かつての勢いを取り戻せるか、それともそのまま外国勢に押し切られるか−。日本企業は重大な岐路に差し掛かっている。

出遅れ感は、否めません
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110707-00000514-san-bus_all
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2011年06月08日

<東芝・ソニー>液晶統合検討…巨額投資へ環境整備

 東芝とソニーが、スマートフォン(多機能携帯電話)やタブレット端末に使われる中小型液晶パネル事業の統合検討に入った背景には、急成長する中小型液晶市場で海外勢との競争に勝つためには、単独では難しい巨額の投資が必要になることがある。官民出資の投資ファンド、産業革新機構が統合後の新会社に出資することも検討されており、官民一体で次世代パネル開発などの大型投資を進める構えだ。【竹地広憲、野原大輔】

【ライバルのシャープは】シャープ:テレビは大型、携帯端末用も量産…液晶事業再編

 東芝、ソニーは年内にもそれぞれの子会社「東芝モバイルディスプレイ」と「ソニーモバイルディスプレイ」を統合して新会社を設立する方向だ。

 液晶パネルはかつて日本の「お家芸」といわれ、90年代はテレビ用の大型液晶パネル市場で日本勢が世界上位を独占していた。しかし00年代に入ってIT(情報技術)バブルが崩壊し、日本勢は大型投資を先送り。その間に韓国・台湾勢が生産設備などに巨額投資し、形勢は逆転。米調査会社・ディスプレイサーチによると、10年の出荷額は韓国・台湾勢で8割を超え、日本勢は水をあけられている。

 大型パネルより高度な製造技術が必要な中小型パネル市場は、世界7位までに日本勢4社が入り、今のところ日本企業が優位に立っている。中小型はスマートフォンやiPad(アイパッド)のようなタブレット端末の普及で需要の急拡大が見込まれており、シャープは今月、テレビ用パネルを製造する亀山工場(三重県)を中小型の生産に切り替える方針を表明。日立製作所とキヤノンが共同出資する日立ディスプレイズも、中小型で世界3位の奇美電子を傘下に持つ鴻海(ホンハイ)精密工業(台湾)との提携を模索するなど、各社は一斉に中小型への移行を進めている。

 しかし、中小型でも韓国・台湾勢の追い上げは激しい。消費電力が低く次世代パネルとして期待される有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)は、サムスン電子(韓国)が市場をほぼ独占している。追いつくには生産ライン増強や次世代パネル開発が必要だが、各社単独では巨額投資の負担は重い。このため、東芝とソニーは事業統合と産業革新機構からの出資受け入れで、大型投資ができる環境を整備して対抗すべきだと考えたもようだ。

 また、もう一つの背景として、韓国・台湾勢躍進に対する政府の強い危機感がある。経済産業省は「先端分野で日本企業は海外に比べてプレーヤー(企業)が多すぎる」と分析。09年7月に設立した産業革新機構が、統合後の新会社を資金面でバックアップすることで再編を後押しし、「敗北」した大型パネルの二の舞いになることを避けたい考えだ。

 海江田万里経産相は7日の閣議後会見で、今回の動きについて「熱い視線を注いでいる」と強い関心を示した。経産省は05年に日立製作所や東芝、松下電器産業(現パナソニック)などが大同団結する「日の丸半導体」計画を主導しようとしたが、利害対立から失敗した経緯があるだけに、今回の再編実現に期待を寄せている。

震災による影響が大きいですね
posted by ナノ at 17:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月30日

東北新幹線、スピード再開 耐震化、「阪神」「中越」の教訓生きた

地震に対する備えが功を奏しました

 東日本大震災の発生から50日目に全線復旧した東北新幹線。過去の震災を教訓に、高架橋の橋脚やトンネルの耐震補強を進めたため、崩落などの重大な被害を免れ、81日かかった平成7年の阪神大震災や66日を要した16年の新潟県中越地震を上回るペースで復旧が実現した。ただ、被害が広範囲に及んだ影響からか、再開区間で架線トラブルによる停電などが頻発。当面は気の抜けない状態が続きそうだ。(原川真太郎)

[フォト] 被災地へ燃料を!JR貨物が見せた“不屈の鉄道魂”

 「高架橋やトンネルが崩落しなかったのが幸いした」。JR東日本の幹部は震災後1カ月半あまりで全線復旧した要因についてこう分析した。

 高架橋の崩壊が相次いだ阪神大震災以降、JR東は新幹線のコンクリート製高架橋柱1万8500本について鉄板で覆うなどの耐震補強に着手。19年度までにすべて完了していた。

 新潟県中越地震では、魚沼トンネル(全長約8625メートル)で天井や側壁が崩落。復旧に時間を要した経験から、トンネルの補強工事も実施した。

 このため、今回の震災では架線の切断や電柱の折損などの被害は広範囲に約1200カ所確認されたが、高架橋や駅舎、トンネルなどの大規模施設で重大な被害はなかった。

 今回の震災では「早期地震検知システム」が機能。時速270キロ近くで運転していた車両を含む営業運転中の新幹線計27本はすべて安全に停車しており、試運転のため仙台駅付近を走行していた回送列車を除き、脱線はなかった。強い揺れを観測した仙台−古川間を走行していた2本の新幹線は、最も強い揺れが来る70秒前に非常ブレーキが作動していたといい、安全性を改めてアピールした。

 だが、復旧後にいかに平常運転を続けられるかという課題は残る。

 一ノ関−盛岡間で運転を再開した4月7日、最大震度6強の余震が発生。新たに約550カ所が被害を受け、JR東は再度の復旧作業を迫られた。仙台−東京間で直通運転が再開された25日には、架線トラブルから停電も相次ぎ、仙台−東京間で運転を見合わせたほか、27日にも同様の架線トラブルなどで運転を見合わせる事態が起きている。

 これを受けて大畠章宏国土交通相は、JR東に施設を再点検するよう指示。「29日以降にこのようなことが繰り返されないようにしてほしい」と注文をつけている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110430-00000089-san-soci
ラベル:東北新幹線 再開
posted by ナノ at 22:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月05日

日本で公表されない気象庁の放射性物質拡散予測

 東京電力福島第一原子力発電所の事故で、気象庁が同原発から出た放射性物質の拡散予測を連日行っているにもかかわらず、政府が公開していないことが4日、明らかになった。

 ドイツやノルウェーなど欧州の一部の国の気象機関は日本の気象庁などの観測データに基づいて独自に予測し、放射性物質が拡散する様子を連日、天気予報サイトで公開している。日本政府が公開しないことについて内外の専門家からは批判が上がっており、政府の原発事故に関する情報開示の在り方が改めて問われている。

 気象庁の予測は、国際原子力機関(IAEA)の要請に基づくもの。国境を越える放射性物質汚染が心配されるときに、各国の気象機関が協力して拡散予測を行う。

 同庁では、東日本大震災当日の3月11日から毎日1〜2回、拡散予測を計算している。具体的には、IAEAから送られてきた放射性物質の放出開始時間や継続期間、どれくらいの高さまで上ったかを、風向きや天候など同庁の観測データを加えた上で、スーパーコンピューターに入力し、放射性物質の飛ぶ方向や広がりを予測している。

当然、公開されるべきものです
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110404-00000603-yom-soci
posted by ナノ at 08:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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