とうとう市場介入です
政府・日銀は31日、日本経済を直撃した急激な円高を食い止めようと、外国為替市場で単独の為替介入を実施し、円売りドル買いの攻防を続けた。介入で円相場は、31日朝にオセアニア市場で付けた戦後最高値の1ドル=75円32銭から4円近く戻し、東京市場では79円20銭前後で数時間にわたって膠(こう)着(ちゃく)。「一定の水準を設定して介入する新手法がとられた」(市場関係者)が、海外勢が取引に入る夕方には再び78円台前半まで上昇し、介入効果は大きく後退した。
「納得いくまで介入する」。安住淳財務相は介入直後の31日午前、記者団にこう語り、円高阻止に向けて市場を牽制(けんせい)した。
通常は介入額を決めて円売りドル買いを実施するが、今回は「防衛ライン」を定めて断続的に介入を続けたもようだ。介入額は過去最高だった前回8月4日の約4兆5千億円を大幅に上回った可能性が高い。
市場関係者からは「対ユーロでスイス・フランの上限を設定し、無制限で介入するスイス国立銀行(中央銀行)と同じ手法を一時的にとった」との見方が出た。
1、2日に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加緩和や3日の欧州中央銀行(ECB)の利下げ観測を背景に円高圧力は強まっており、放置すれば日本経済や産業界への影響がさらに大きくなると判断した。
しかし、介入で急落した円は、午後5時現在は前週末比2円97銭円安ドル高の1ドル=78円80〜81銭まで円高に振れた。介入を好感して一時9100円を回復した日経平均株価も、終値では前週末比62円08銭安の8988円39銭で2営業日ぶりに9000円を割った。
8月4日の円高局面で実施された介入では、76円台から80円台まで円安に反転したが、効果は1週間と持たずに円高が進んだ。
今回の介入も、「莫大(ばくだい)な資金が世界を流れる中で、市場の流れに歯止めをかけるのは困難」(ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次主任研究員)として、効果は限定的との見方は強い。
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