2012年06月18日

東京電力の家庭向け電気料金値上げに対し、法的に拒否することはできるのか

どうなるんでしょうか

5月11日、東京電力は経済産業省に対して7月からの家庭向け電気料金の値上げを申請した。

電気料金の算定は電気事業法および経済産業省令に基づいて行われることになっており、枝野経済産業大臣が厳格に審査する考えを表明していることもあって申請通りの内容で値上げが認められるかはまだ不透明な状況にある。しかし、仮に申請が認められた場合、各家庭には法的に値上げに拒否できる余地はないのだろうか。

原則的に、企業がある商品やサービスについて値上げを行なった場合、値上げされた金額で購入するかどうかは消費者の自由であり、値上げされた金額で購入したくない場合は、他社の商品など代替となるものを探すことも可能だ。しかし、電気の場合は事情が異なり、各家庭が電気を使用するためには、自家発電装置がない限り管轄区域ごとの電力会社から購入するしか実質的な選択肢はないといっていい。そのため電力会社の値上げは、ほぼ強制的な効力を持つことになる。

既に東京電力は4月より順次企業向け電気料金の値上げを行なっているが、企業が値上げに応じない場合には、最終的に電気の供給を止める可能性があると説明している。

それではもし家庭向け電気料金が値上げされた場合、はたして各家庭には値上げを拒否できる余地はないのだろうか。また値上げに応じなかったことで電気の供給が止められたとしても、それは法的には問題がないのだろうか。消費者契約に詳しい近藤公人弁護士に聞いた。

「東電は独占企業ですので、国民に重大な影響を与える電気料金については、企業内で価格設定の変更を自由にすることができないように、経済産業大臣の認可がある場合にのみ、値上げできるようになっています。」

「電気料金の値上げには行政の『認可』が必要なことを考えると、行政訴訟で『認可(処分)の取り消し』を訴えることによって対抗することが可能かとも考えられますが、過去の判例で、鉄道の特急料金の変更認可取消訴訟では、利用者に訴える資格がないと判断され、却下されました。鉄道事業と電気事業は異なるものですが、電気料金の値上げについても行政訴訟での認可の取り消しは困難かも知れません。」

「もし値上げを拒否して電気料金を支払わなかった場合ですが、東電は、『正当な理由がなければ、電気の供給を拒んではならない』ことになっています。通常の料金未払いの滞納は、電力会社にとって電気の供給を停止する『正当な理由』に該当しますので、電気の供給を停止することは認められます。」
「そもそも電気料金の値上げは『料金が能率的な経営のもとにおける適正な原価に適正な利潤を加えたものである』ときに認められるため、私は『適正な原価に適正な利潤』ではない今回の値上げは不当であり、不当な値上げに基づく請求を拒むことは、各家庭にとっては『正当な理由』に該当すると思うのですが、法の世界では、たとえ東電の値上げが不当であったとしても、認可された以上は、値上げに応じず料金を支払わなければ滞納と同じです。よって値上げに応じなかった時は、電気の供給を停止されても違法なことではありません。また、消費者契約法などの法律を駆使しても、残念ながら値上げに応じないことは困難でしょう。」

近藤弁護士の言うとおり値上げが適正なものであるかどうかは議論が分かれるところであるが、いずれにせよ経済産業大臣が値上げを認可した場合には、各家庭は値上げを拒否することはできないということだ。
原発事故への対応など、厳しい世間の目にさらされている東京電力だが、今回の家庭向け電気料金の値上げ申請についても批判の声が上がっており、今後も難しい経営判断を迫られることになりそうである。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120617-00000301-bengocom-soci
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2012年05月09日

<東電>家庭向け10.28%値上げ…総合事業計画

とうとう値上げ実施が迫ってきています。

 政府は9日、東京電力と原子力損害賠償支援機構が4月に共同申請した東電の「総合特別事業計画」を認定する。東電は計画認定を経て、週内にも家庭向け電気料金の7月値上げを枝野幸男経済産業相に申請するが、焦点の値上げ幅は平均10.28%となった。

 東電が料金制度改正を伴う本格値上げに踏み切るのは、石油危機後の80年以来32年ぶり。値上げ後の1キロワット時当たりの家庭向け料金は平均2.40円上がり、25.74円になる。東電は今後10年間で3兆3650億円のコスト削減に取り組むが、福島第1原発事故や原発停止で財務基盤が急激に悪化、4月の企業向けに続き家庭向けの値上げは不可避と判断した。東電の次期社長に8日内定した広瀬直己常務(59)は記者会見で「値上げしないといけない理由、合理化努力の両方をしっかり説明し理解いただかなければならない」と述べた。

 東電は、値上げによる家計への影響を抑えるため、新たな料金体系を導入する。電気使用量の少ない家庭の値上げ幅を10%以下に抑え、低所得世帯に配慮。夏の昼間(午後1〜4時)を割高にする一方、夜間は安い料金にするプランを導入し、節電への協力を促す。

 10.28%の値上げ幅は、経産省有識者会議の議論を踏まえ、電気料金への算入対象を絞り込み計算し直した。柏崎刈羽原発(新潟県)を13年4月から再稼働し、燃料費を圧縮することも前提とした。

 参入対象の見直し結果は、企業向け料金にも適用される。現状で平均16.7%の値上げ幅は4月以降にさかのぼって16.39%に圧縮される。既に支払った分との差額は、今後の電気料金から差し引くなどして精算する。

 家庭向け料金の値上げには枝野経産相の認可が必要。枝野経産相は「慎重に審査する」と述べており、値上げ幅は圧縮される可能性もある。また柏崎刈羽原発の再稼働が計画通り進まない場合、更なる値上げもあり得る。【宮島寛、小倉祥徳】

 ◇総合特別事業計画のポイント

・家庭向けの電気料金を7月から10.28%値上げ

・4月からの企業向け値上げ幅(16.7%)は16.39%に抑制

・家計負担を軽減する新たな料金メニューを用意

・柏崎刈羽原発を13年4月から再稼働

・21年度までの10年間で3兆3650億円超のコスト削減

・取締役の過半を社外人材とする委員会設置会社に移行

・会長、社長直属のスタッフ部門創設

・燃料・火力部門を12年度下期、小売り部門と送配電部門を13年4月めどに社内分社化

・国が原子力損害賠償支援機構を通じて1兆円の公的資本を6月の株主総会後に注入。議決権の50%超(潜在的には3分の2超)を確保し実質国有化

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120509-00000008-mai-bus_all
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2012年04月06日

トヨタ、新興国向け戦略車をエジプトで生産へ

トヨタは相変わらず強気です

 トヨタ自動車は6日、今年前半にもエジプトで新興国市場向け戦略車の生産を開始することを明らかにした。部品を輸出して現地企業に組み立てを委託し、SUV(スポーツ用多目的車)「フォーチュナー」を生産する。これまで同社は、エジプトには日本からSUVを輸出していたが、現地組み立て体制を整え、販売強化につなげる。

 トヨタは、新興国専用車としてフォーチュナーに加えてピックアップトラック「ハイラックス」とミニバン「イノーバ」の3車種を2004年からタイなどで生産を開始。現在は、日本と北米、中国を除く世界170カ国・地域に投入し、3月末には累計販売台数が500万台に達した。

 ただ、昨年はタイの洪水で、海外拠点が生産停止や減産を強いられ、販売は前年比4・9%減の77万台と落ち込んだ。

 エジプトも、同5%減の1万台と減少したが、同国では日本から輸出している「ランドクルーザー」といったSUVの需要が根強い。関税の問題もあるため、価格の安い新興国向けSUVを現地で組み立てることで、全量を迅速に供給できるようにすることで顧客層を広げる。

 新興国向け車両については、昨年の減少を挽回するため、生産を強化している。同日会見した小林一弘常務役員は、「当然、11年以上の世界販売を狙う」と、10年に記録した81万台という過去最高の販売台数を視野に、拡大を目指す考えだ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120406-00000564-san-bus_all
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2012年03月04日

東電、家庭料金10%値上げへ=7月にも―コスト削減3兆円規模

つらいですね

 東京電力が、家庭向けの電気料金を7月にも10%値上げする方向で調整を進めていることが4日、分かった。今月末までに策定する「総合特別事業計画」に盛り込み、枝野幸男経済産業相が総合計画を認定した後、速やかに値上げを申請する。同時に燃料・資材の調達改革や人件費の見直しを徹底。10年間のコスト削減額を、これまで想定していた2兆6488億円から3兆円規模に積み増すなど、合理化を進めて利用者の理解を得る。
 申請から認可までは4カ月程度かかる見通し。政府の査定により、値上げ幅が圧縮される可能性もある。一方、東電は家庭向けとは別に、企業・工場など事業者向け電気料金を4月から平均17%引き上げる方針だ。
 また総合計画には、柏崎刈羽原発を2013年度に再稼働させる方針も盛り込む。原発の運転で燃料費を削減できるため、東電は15年度にも料金を再び引き下げたい考え。その場合、値上げ期間は3年程度となる。
posted by ナノ at 15:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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